採用のトラブルや採用内定取り消しのトラブル
使用者と労働者の雇用契約・労働契約のはじまりは、使用者の採用活動と、これに続く(内)内定、本採用といった流れになることが多いと考えられます。
一方で、労働契約の締結があった場合には、労働者の地位は労働法によって強く保護されます。
例えば、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が要求され、使用者が自由に解雇することができなくなります。
だからこそ、使用者は採用に際して労働者を適切に見極める必要がありますし、労働者としても、採用の獲得を目指して活動することとなります。
このページでは、採用トラブルや、内定取り消しトラブルについてご紹介します。
主な採用・採用内定取り消しのトラブルについて
典型的な採用トラブル、内定取り消しトラブルとしては以下のものが挙げられます。
・内定取り消し
内定は、基本的には、始期付き解約権留保付き労働契約とされており、内定の受諾があった時点で、労働契約が締結されていると考えられます。
そのため、労働契約の保護が及び「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」がない限り、内定を取り消すことができません。
内定が出ると、ほかの就職活動をやめることもあるため、保護をする必要があります。
似たような問題として、試用期間内に、解雇を継続するのが困難な事情が見つかり、解雇をすることができるのかという問題もありますが、試用期間は内定よりさらに先に進んでいるため、同じく労働法上の保護が及びます。
・経歴詐称
経歴詐称があった場合、かかる詐称によっては「客観的に合理的な理由」「社会通念上の相当性」の要件を満たすことがあります。
もっとも、採用の段階で重要な部分について詐称がないか、可能な限り見極めることが重要といえます。
・採用の自由
企業は誰を雇うのかどうか決定する自由、すなわち採用の自由を有しているため、採用活動に際して、思想等を理由として不採用としても違法とはなりません。
同様に、原則、思想等の調査を行うに際して、これらの申告を求めたとしても違法とはなりません。
・その他法律上の制限
労働組合法7条1項には、労働者が労働組合に加入せず、もしくは労働組合から脱退することを雇用条件とすることなどを禁止する規定が置かれています。
また、雇用対策法や障碍者雇用促進法(努力義務)などの制限があるため、これらに配慮して採用活動を行うことは求められています。
労働問題にお困りの方は石川法律事務所までご相談ください
以上のように、労働契約締結後には、労働者の地位は労働法によって保護が及ぶため、採用に際しては企業の側に強く採用の自由が認められています。
もっとも、行うべきことは採用活動に際して、適切に自社が望む者を選別して採用をすることで、後に不必要に解雇や内定の取消の必要が生じないようにすることと考えられます。
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石川 一彦いしかわ かずひこ / 埼玉弁護士会
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昭和38年5月6日生まれ。神奈川県横浜市出身。
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仕事にやりがいを感じ、より多くの相談を受け、サポートを深めて行きたいと資格取得を決意。
2019年に資格を取得する。 目指しているのは「生涯現役」。
常に自己研鑽を怠ることなく、日々の業務に邁進している。
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